◆「奥が深い」◆ Sun King 〜 Mean Mr Mustard
手前味噌ですが、今回のこの曲についての制作記です           Download

 [奥が深い」人は軽く口にしますが、私もその一人です(笑)しかし、本当の意味で奥の深さを知っている人は少ないと思います。今回のこの曲、私としましてはかなり軽く踏んでいたように思います。
何せ前作の「You Never Give Me Your Money」はあまりの大作でしたから。ま、「Sun King」くらいなら、どうってことないだろう...短いし、ええ加減な感じやし...本音ですねコレ(笑)
しかし、やって行くとこれが大変。「Because」でコーラスのダブル収録がしんどかった云々、「You Never 〜」のコーラスがしんどかった云々...そりゃ様々あったでしょうが、この「Sun King」もそういうところじゃ負けてません。曲は短いですが、コーラスパートの多さでは群を抜いてます。
コーラスパート、メインVoを含めて7コーラス。サビの部分のジョンヴォーカルが別に1つ。それを全て2コーラスのダブル・トラック。ということは8×2で16トラック。ガイドに会わせて一つずつ、それも同じものを2回録り。いい加減いやになります。楽しくもなんともありません(苦笑) 一斉に聴けたならまだやりがいもありますが、まったくもって無理なお話なんで、私はコーラス録音をただただこなして行くのみ。
まるで種馬のような気持ちで、牝馬がいっぱいいてくれてたって嬉しくもなんとも...みたいな(爆)
なんて例えをするんでしょうね、これだから○○○はいやがられるんですね(笑)
で、Teraの仮Mixが終わって試聴。おや、中央にあるメイン・ヴォーカルが浮いたように聞こえる。ダブルのコーラスは右サイドから出ており、中央のメインからもコーラスは聞こえるのですが、どうも浮いて聞こえる...
う〜〜〜〜ん、これはどうしたものかとTeraに尋ねてみたら「Cutsさん、隙間を感じるのは、まだコーラスが足りないからなんです。Chorus-1から4までをもうひとつづつ、出来ればChorus-5ももうひとつ録って下さい、それしかありません」ぎょえ〜〜でしたね。コーラスのトラック総数、な、なんと20です。もう、びっくりしました。
ビートルズはすべて3回録ったそうです。それでこの4つを足してやってみた結果、Teraの言う通り、中央部分のヴォーカルとコーラスが埋まりました。自然に聞こえます。
 次にぶち当たった難関は意外とギターでした。ジョンが弾くあの3フィンガーのエレキなんですが、当初コピー譜の通りにピック弾きでやっていたところ、Teraに言わせるとまったく間違ってるとのこと(汗)E6の押さえかたを6フレットでやってA6、そして2フレット上に上げてB6てな具合で、5,6弦を交互に弾く3フィンガーだと教えられましたが、普通のギターでも指が触れそうなポジションをあのネックの細いカジノでやるわけです。当然1本くらいの弦は快音を鳴らさずプツとか、鳴っても最後にビオ〜ンなんて妙な音を発したりします(笑)
私には多分弾けないんじゃないかとか、ジョンは私より大きな手と長い指でどうやってこれを弾いたのか?などと言い訳にも愚痴にも聞こえる言葉がTeraに投げかけられましたが(爆)彼はいつもの通り、そのような話には直接答えません。良いニュアンスが出るのでやったほうがいいと解りながらも、それが出来ない自分にジレンマを感じながら試行錯誤して弾いていたある日、指使いのコツを発見しました。なるほど、こういう押さえ方をすれば弾ける。上手くは弾けませんでしたが、何とか弾きました。
それをMix。やはりあの鐘の音というか柱時計の鐘みたいな音は、このハイポジションのA6の3フィンガーからでないと生まれません。「奥が深い」なんて言ったら、逆に軽く取られがちですが、妙な音源、変わった楽器やらエフェクトやらを使わずに純粋なバンド+キーボードをメインに収録されたこのアルバム。ほとんど誤魔化しは効きません。
こちらも丸裸で体当たりして行くだけですが、やはり、ことごとく跳ね返されてしまいます。勝てねども、どこまで押せるかが勝負だと思っています。そこはTeraのミキシングの手段と手腕に掛かっていると言えるでしょう(←どこまで他力本願やねん・笑)ふう〜、ごっつぁんです(汗)
                                            2007,05,19    by Cuts

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