住宅に関する法律あれこれ
消費者保護の立場からユーザーが安心して住宅を取得できるようにするとともに、トラブルを未然に防ぎ、万が一トラブルが発生した場合はその紛争を速やかに処理できるようにした法律であり、2000年4月1日から施行されています。 この法律は大きく分けて「基本構造部分の10年保証」「住宅性能表示制度」の二つからできていて、 「基本構造部分の10年保証」は2000年4月1日からスタート、「住宅性能表示制度」は7月19日に告示されました。 |
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「基本構造部分の10年保証」 | |
●家の保証期間が10年に | |
ユーザーが新築住宅の取得契約(請負/売買)を結んだときに、供給業者(工務店や不動産業者)はその住宅に対して瑕疵(かし)担保責任があります。瑕疵担保責任というのは契約したときにわからなかった家の不具合(欠陥など)に対して、修理・補修をおこなうことです。住宅品質確保促進法が施行される以前は、この責任を負う期間(保証期間)を2年程度に設定しているケースが一般
的でした。 それが、この法律により最低10年間の保証期間が義務づけられました。したがって、住宅を新築したユーザーは完成後10年間にわたって、雨漏りなどの“基本構造部分”の不都合が出た場合、無償で修理してもらえるというわけです。 |
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●保証される“基本構造部分”ってどこのこと | |
注意したいのは、10年間保証されるのは住宅の全部ではないということです。対象は柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分になります。 ここに不具合が発生した場合、ユーザーは「修補請求」、「賠償請求」、「解除」 (売買契約の場合で修補不能な場合に限ります)のいずれかを請求できます。 |
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「住宅性能表示制度」 | |
●ルールを決めて家の性能を表示 | |
「住宅性能表示制度」は住宅の性能を表示するためのルールを決めて、その性能を客観的に評価するためのものです。たとえば電化製品などは、その製品の消費電力をメーカーがあらかじめ表記していますので、ユーザーはこの数値を参考にして各社の製品を比較し、自分の希望にあったものを選択できます。 ところが住宅の場合は、各社が思い思いのデータを表記し、断熱性能や耐震性能が優れていると説明することが多く、一般 のユーザーにはそれがどの程度の性能なのかがわかりませんでした。こうした不具合をなくし、住宅も共通のルールに基づいた性能値で判断できるようにしようというものが「住宅性能表示制度」です。 |
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●制度利用には費用が必要 |
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住宅性能表示は評価のために一定の費用(約10万円)が必要です。ですから利用する、しないは利用する側(施主)の判断次第です。 この制度の利用を希望する場合は、評価をおこなう「指定住宅性能評価機関」に指定の書類を提出。それに基づいて申請のあった住宅の性能評価がおこなわれ、住宅性能評価書が交付されます。 性能評価をおこなう建設大臣が指定する「指定住宅性能評価機関」は、評価が不平等にならないよう、客観性のある第三者機関であることを条件に、民間の機関に委託されています。 |
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●制度のメリット(1) |
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住宅性能表示制度で表示される項目は、以下の9項目。 それぞれの性能は、建築基準法をクリアしたレベルが最低ランク(等級1)になり、 それ以上の性能を有するものについては、高いランク(等級2以上)が表示されます |
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●制度のメリット(2) |
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制度を利用した住宅に「性能が達成されなかった」などのトラブルが発生した場合、「指定住宅紛争処理機関」という専門機関が間に入ってトラブルの解決をしてくれます。申請の際に提出した書類がありますから、時間もかからず、そのための費用も少なく解決できるのがポイントです。 |
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建設リサイクル法 | |
環境保護を目的とした住宅に関わる法律です。2002年6月末より 建設リサイクル法が完全施行されて非常に厳しい分別解体が義務づけられています。そのため重機によるミンチ解体が不可能になり、これまで不要だった足場代も必要になります。
2002年6月現在で解体業界も対応が一定でなく、解体費も さまざまな状況になっています。ただ、増加する産業廃棄物の処理や不法投棄・野焼きに対応するため(産業廃棄物の多くは建築廃材です)分別解体が義務づけられる可能性がでてきました。この間の国会では法案は先送りになりましたが、近い将来に可決されると思います。 |
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●解体工事の事前届けは自分でやることに | |
住宅を解体する場合、都道府県に届け出をおこなうことが義務付けられています。注意したいのは、業者による代理申請は認められていない点です。業者の作った工事計画書と申請書類をまとめ、施主が自分で申請しなくてはいけなくなることです。 | |
●解体・処理費用の負担が必要に | |
これにより解体に手間がかる分値段が上がりました。以前の1.5倍以上になったのではないかと思います。(実際はマニュフェストという、きちんと正式に処理しました、という書類が必要で、受け入れ側の処理場は分別しないと引き取らないことが殆どになっています)環境の為には、解体処分費は値切ってはいけないものです。 こうしたコスト負担に対し、住宅金融公庫では、適正な解体処理がおこなわれた新築住宅の基本融資額を150万円増額できる加算制度を設けていますので、利用するようにしたいものです。 |
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