The Words 007-1  「bTの思い出」 Cuts 

 私の若かりし日、特にビートルズを聴き始めた頃のリスニング環境なんて、稚拙で最低な環境でありました。無論、ステレオなどという宝物は私どもの家にはありませんでした。笑い話になりますが、蓄音機はありましたよ。(笑)ビンボーというか低い生活意識といいますかネ...(泣・笑)
 ビートルズを聞き始めたのが中三、そうギターを始めた頃と同じような頃ですね。
この時、画期的だったのが、4トラックの「ラジカセ」がこの世に出現したことでした。それまでは小さくても2トラックのオープンリールか、はたまた半ば学習用の4トラックのレコーダーがあるくらいでしたから...
ラジカセとはいえ、当時はスピーカーはひとつですし、モノラルが当たり前です。FM放送と言えどもスピーカーはひとつで聴いていた時代でした。だから、裕福な?友達に録音してもらってもモノラルでしか聴いていないのが現状でしたし、ましてヘッドフォンで聴くなどとは思いも寄りませんでした。
で、働きだしてから、やっとの思いで自分のオーディオを手に入れるわけですが、その頃にはビートルズを聴かなくなっておりました。
だから、お恥ずかしい話ではありますが、若き日にきちんとした聴き方をして来なかった私には、この件に関しまして何らコメント出来るモノがないわけなんです。(悲)
ただ、そんな私ではありますが、ビートルズのレコード音源に関しての思い出話がほんの少しだけありましたので、少しお話させて頂きます。

 高校生の頃、奈良の西大寺駅に奈良ファミリー(今もありますが)が出来、そこの近鉄百貨店の家電売り場のオーディオコーナーのステレオ展示場に試聴用に「ビートルズVol 2」が置いてあったんです。
「ステレオ!これがビートルズだ!」てなことが帯に書いてましたかね...
テクニクスかなんだったか忘れましたが、高そうなステレオでレコードを掛け、ヘッドフォンで「It won't be long」やその他の曲を友人2,3人で聴き、ヘッドフォンをしながら的外れな音程と大声で唄い、仲間の涙笑と売り場のおねえさんのお叱りを受けた、ほろ苦い思い出がございます。(笑)
これを聴きたいがために、よく通いました。終いにゃお姉さんも顔を覚えてくれたくらいでしたから。「また、きょった...」って感じ。
たしかに綺麗で繊細なステレオ音源だったと記憶しています。だから最近のCDを初めて聴いた時には確かに「あれっ?」だったのを思い出します。
 それともうひとつ、高校2年の頃でしたか、レコード屋さんのサービス企画で「ビートルズ・ポスターパネル・プゼント」というのがありまして、ビートルズのLPを買うと大きなパネル貼りのポスターをくれるのです。私はその店の壁に掛かっている「Let It Be」の頃のポールのどアップパネルが欲しくて"ビートルズbT"を買いました。
 何故か?お気づきの方はかなりマニアック?いや、エコノミックかも知れませんが、それは単に安かったからです。(笑)一般のステレオ盤の2,000円に対し、こちらはモノラルで1,500円。こずかいの少ない当時の私としては何としてもこのパネルを手に入れなければならなかったのでした。
大きなパネルとLPを手に入れた私は、意気揚々と家へ帰りました。そして最近手に入れた安っぽいポータブルプレーヤーながらも2スピーカーの優れモノに針を落として聴いてみました。
期待とは裏腹にプアな再生機でのモノラルは凄く味気のない音に聞こえました。
落胆した私はそれ以降、このアルバムを2,3度聴いただけだったように思います。