私が愛してやまないビートルズ、そしてジョン・レノン。そのジョンに対しての気持ちを書くはずが、ビートルズを題材にした、
当人の回顧録になってしまいました。単なる一人の人間の戯言に過ぎません、不快に思われる方は読まないようお願いします。
拝啓、敬愛なるジョン・レノン様 E
第6話 オー、キャロル!
 高校2年の春ごろ、僕は安物ではあったけれどスピーカー内蔵のレコードプレーヤーを手に入れた。確か1万円くらいの物だったが、僕には大金だった。これでやっとレコードが聴けるようになると、なけ無しの金をはたいて買ったレコードが「Let It Be」のアルバムだった。
この頃になると大抵の曲を聴いて知っていたのだが、未だに手つかずだったのが「The Beatles」通称ホワイトアルバムと呼ばれる2枚組のアルバムだった。
いつものごとく唯一の情報源である友人の佐野君から借りたのだが、彼いわく「まー、どーかな?」という意味が聴いてみてよく解った。聴いたことのある曲といえば「Back In The USSR」と「OB-LA-DI OB-LA-DA」くらいなもので、あとは全く知らない曲ばかり。それに今まで聴いてきたビートルズのイメージとはかけ離れた曲ばかりで難解かつ退屈だった。
わくわくして針を落とした結果がコレで、期待を大きく裏切られたような気がして、やはりビートルズも失敗するのかと思った。とりあえずカセットテープに収録はしたが、殆ど聴くこともなく放っていた。
バンドの方はと言うと相変わらずで、練習はしているが、あまり進歩せずというのが正直な処だったが、そろそろ各自の楽器も揃えなければという事になり、荒木君と武澤君と連れだって大阪まで楽器を買いに行った。奈良にも楽器店はあったが、品揃えを考えればやはり大阪になる。
荒木君はベースを、武澤君はとりあえずエレキギターをということでミキ楽器へ行った。弾けもしないのにヘフナーのベースを購入したスチュみたいな荒木君。やはりビートルズをやる上でのベースというと絶対にバイオリンベースは外せない。グレコは高めでちょっと手が出ないので、少し形は違うがグヤトーンのバイオリンベースに決めた。腰のくびれと表現すればよいか、あのくれ込んだ部分がかなり浅い形状で少し不満なのだが、なにしろ値段と形命なので音も出さずに即決である。
武澤君はグレコのワインカラーのSGモデルを購入した。カブトガニと彼が称するSGだが凄く良い出来で甘いニスの香りのするボディでいい音がした。ピックアップに結構いいものを使っていたのだろう。
ジョージが中期以降にワインカラーのSGを持っていたからなどという気の利いた考えは彼には無いから、思いついた直感で購入したのだと思う。
購入後近くの中華飯店で食事をした。とにかくカニチャーハンがとてつもなく美味しかったのを覚えている。それ以来あの時のカニチャーハンを越えるチャーハンを僕は食べたことがない。
時同じ頃、僕は中学時代の友人佐野君の家へ行った。彼は2年生になる前に学校を辞めてしまったので、様子を見に寄ったのだ。相変わらず彼のビートルズのレコードコレクションも増えていて「Revolver」「Magical Mystery Tour」を我がカセットにチャッカリと収録した。
「Cuts、こんなん知ってるかー?」彼が差し出したのはCAROLのアルバム「ファンキー・モンキーベイビー」だった。イントロのギターと歌い出しにインパクトのあるこの曲は少し前から知っていた。皮ジャンにリーゼントスタイルの4人。レコードジャケットを手にしてまじまじと眺めた。これがCAROLか...こいつら...完全に不良やんか(爆)
何といってもエーチャンの面構えが圧巻で、当時僕の先輩で悪いのが居て、その彼を彷彿させる風貌だった。でも、レコードをかけてよくよく聴いてみると、これが凄くカッコイイ。「ファンキー・モンキーベイビー」は当然、「憎いあの娘」なんてビートルズよりもリバプールっぽい。「レディ・セブンティーン」や「愛の叫び」なんかもビートルズ的である。見た感じとは逆に歌詞の内容が女々しいというか艶っぽいというか、アンバランスな魅力があるバンドだなと感じた。
すぐに飛びつきはしなかったが、ビートルズばかりでなくキャロルの曲もレパートリーのひとつとして取り入れようかくらいな気持ちで、何曲か練習していたのを思い出す。

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