0〜25 26〜50 51〜75
076 '06,12,12 Help!

モーリーン・クリーヴ、イヴニング・スタンダード紙にあの有名な「僕等はイエス・キリストよりも人気がある」という記事を書いたライターだけど、彼女が僕に言ったんだ。「1音節よりも長い言葉で歌詞を書いてみたら?」ってね。それで「Help!」では2音節とか3音節の言葉も入れて詞を書いて、胸を張って彼女に見せたが、彼女は気に入らなかった。そのころ、僕は自信を失っていて、そういうことが何度かあったんだ。以前はそんなことは考えもしなかったけどね。それで、彼女に言われて3音節の言葉をいくつか入れるようにした。でも、彼女に聞かせてもあまり気に入らないようだった。

077 '06,12,13 ジョンのデブのエルヴィス時代
ビートルズ旋風はクレイジーだった。僕はブタのように飲み食いし、ブタのように太って、いつも自分に満足できず、心のどこかで助けを求めていた。ディランは賢くわけのわからない言葉の裏に逃げ込もうとしたが、言葉面に隠されている何かを見さえすれば、それがどういう意味なのか、はっきりわかるんだ。「Help!」の時、僕は実際に助けを求めて叫んでいた。ほとんどの人は、これがただのロックンロールだと思ってた。僕もその時は解らなかったよ。映画の為に曲を書くように言われて書いただけだった。でも後になって自分は助けを求めて叫んでいたんだと気がついた。いわば僕の「デブのエルヴィス時代」だな
078 '06,12,15 ジョージって
ポールと僕とで王国を築き上げたんだ。それは僕等がシンガーだったからさ。ジョージをメンバーに引き入れたころ、彼は歌うことすらなかった。彼は純粋にギタリストだったんだよ。そのうち「ではここで彼にも・・・」ってさ。ポールと僕が歌をすべて受け持ち、曲作りもすべてやっていた。ジョージが曲を書き出したのはずっとあとのことだよ。僕等がジョージをのけ者にするはずないだろ。彼の曲があんまり良くなくて、誰も何も言いたがらない、そういう気まずい時期もあったけど、それでもみんな協力したんだ。彼を低く見てるんじゃないぜ、僕等みたいにソングライターとしての練習をしてなかったってだけだよ。
079 '06,12,16 Yeh Blues 「ロックンロール・サーカス」
アドリブに近くて、大した打合せもなかった。ビートルズのような決まりきったショーではなかったからね。あの頃はただ出て行って「抱きしめたい」なんかをプレイするだけ。時間は20分。でもみんな悲鳴をあげるばかりで、何も聴いちゃいなかった。ビートルズ以外のメンバーと初めてプレイしたのは「ロックンロール・サーカス」のときだった。エリック・クラプトンやキース・リチャーズと一緒にステージに立つのは楽しかったよ。自分は今までと同じスタイルで歌ったり、演奏したりしているのに、バックから聞こえてくる音が違う。素晴らしい体験だった。他の人たちとプレイするのって、なんて楽しいんだろうって思ったよ。
080 '06,12,19 Across The Universe 
ちょっと芸術家きどりで作った曲だな。僕はベッドで前の女房の隣に寝てイライラしていたんだ。彼女が何か僕に文句を言い続けた挙句に眠ってしまって、僕だけが眠れなかった。彼女の言葉が耳に残って、終わりのない流れのように聞こえてくるんだ。僕はベッドを出て降りて行き、曲を書いた。でも、宇宙的な曲になったんだ。「なぜいつも文句を言うんだ?」じゃなくてね。でもビートルズはいい仕上げにできなかった。僕達は無意識に"僕達"というよりポールが一番そうだったけど、無意識にいい曲をぶち壊してしまうんだ。いいかい?あいつは無意識に曲を壊そうとしていた。つまり、僕の曲で実験的なゲームをしていた。
081 '06,12,20 無意識に曲をぶち壊すポール?
Strawberry Fields Forever」もそうだ。僕はずっとレコーディングがよくないと思っていたよ。あれはあれでなんとか出来上がってはいるけどね。でも、たいていポールの曲の細かい点を処理するのに時間を費やしてた。だから僕の曲、特に「Strawberry Fields Forever」や「Across The Universe」のようないい曲の番になると、なぜかだらけてしまい、軽い気分や実験だとかいう気持ちになってしまう。無意識の破壊工作だよ。もちろん彼としては、やさしい顔で、そんなことはないと言うだろうけどね。でも、そういうことなんだ。僕が気にしすぎるのかもしれないが....違うな、やっぱりそれが事実だ。
082 '06,12,21 妻子持ちは辛いんだぜ
「Magical Mystery Tour」はポールの曲だ。僕が書いた部分もあったかもしれないけど、コンセプトはポールだ。この時期、ちょっとトラブルがあってね、僕はこのアルバムのことでは後で頭にきたことがあったんだ。そのころ、僕は、妻と子供と一緒に郊外に住んでた。片や、ポールはまだ独身で街中に住み、遊び回ってた。彼は曲やアルバムのアイデアが浮かぶと突然電話してきた。ポールはアイデアも編曲も用意ができていた。でも僕はゼロから作らなければならない。「SGT.PEPPER」では、僕は10日間というプレッシャーの下でなんとか「Lucy In The Sky With Diiamonds」と「A Day In The Life」を作った。
083 '06,12,22 2曲ながらもいいモノが書き上がったものさ やっぱ天才だな..オレ様は
それでも最初はまだのっていた。でもだんだん結婚生活や家族を養うということにかまけて、「MAGICAL MYSTERY TOUR」のアルバムでは、「I Am The Walrus」と「Strawberry Fields Forever」の2曲しか書けなかった。それがやっとだったんだ。彼は20曲も書き上げていて、アルバムに関する色々なアイデアも持っていた。ジョージもなんとかついてきた。幸い「I Am The Walrus」と「Strawberry Fields Forever」はすごくいい出来でみんなが覚えてくれた。「The Fool On The Hill」もポールのヒット作になった。それがポールだ。いい歌詞が書けるんだ。この曲はポールがひとりでもちゃんとした詞が書けるという見本のひとつだ。
084 '06,12,23 「Girl」−1話
Girl」は現実的な歌だ。実際にモデルになった娘がいたわけじゃないけど、歌詞は切実だよ。この曲は歌というよりも、僕等が探しまわっている女性、僕にとってはヨーコになるんだろうけど、について歌っているんだ。
「子供の頃、苦しみはいずれ喜びに変わることを教わっただろうか、その意味を理解できただろうか」っていう歌詞を書いたときは、自分でも哲学書から引用した文章みたいだなと思ったよ。キリスト教のことを言いたかったのさ。僕は、子供の頃教会に連れていかれるのが嫌だったからね。
085 '06,12,24 「Girl」−2話
僕が書いた2冊の本の中で、僕はキリスト教についてかなりたくさん語っている。そのことが話題になったことはないけど、読めばわかるよ。「天国に召されるためには苦難を乗り越えなければならない」っていう教えに疑問を持っていたからね。
これはカトリック教の考え方なんだ、喜びは苦しみから生まれるってね。真実かもしれないけど、教えではない。僕は信じていなかったよ。何かを得るために苦悩しなければならない、なんてね。苦悩するかしないかは状況次第なんだ。
086 '06,12,25 Grass Onion  "wairus is Paul"はジョークさ
あれ(“Walrus is Paul”)はジョークさ。ひとつにはヨーコと一緒になり、ポールと別れることへのうしろめたさがあって、ひねくれた言い方でポールにこう言ったようなものだ。「お食べよ、幻をあげる。なでてあげる。僕は別れていくんだから」。あのときの僕はヨーコに出会ったばかりでヨーコとの愛の雲に乗っているようだった。だから、「そうだ、ポールを誉めてあげよう。”大丈夫、君は今まで数年間、いい仕事をして僕等を団結させてくれた”って言ってあげよう」と思った。彼はまだ、なんとかグループをまとめようとしてたから、ひとこと言いたかったんだ。「僕はヨーコと出会った。今までありがとう。君は功労者だ」
087 '06,12,26 オレはポールとは違うのさ コンセプトなんて興味ないね
僕等にコンセプトというものはない。僕にとってアルバムというのは新曲を集めたレコードのこと。僕自身はシングルの方が好きだね。ポールはアルバムの構想を持ってる、というか、そういうコンセプト・アルバムを作ろうとしてる。メドレーのアイデアを考えたりね。でも僕はコンセプト・アルバムには興味がない。僕が興味を持ってるのはサウンドだけだ。どんなのだろうとそのままのサウンドを入れたい。アルバムをショーにしたいとは思わない。僕としては、ロック・ソングを14曲入れたいだけだ。
088 '06,12,27 僕はアビーロードB面にはまったく関わってない
僕自身はストリングスとかそういうのはめんどくさいし、どうでもいい。バンドとしてやりたいんだ。じゃなきゃ電子音を使うか。ミュージシャン同士であれこれやりあうのも億劫だ。だけどポールはそういうのが好きなんだよ。そういうのが彼のやり方なんだ。バイオリンをどこに入れるか、どういう使い方をするか、それは彼次第さ。「Golden Slumbers」ではストレートな感じのバッキング・トラックを入れたかったらしい。彼が「ABBEY ROAD」のB面で望んだのはそういうことさ。僕はあのポップ・オペラみたいなのには全然関わっていない。僕が好きなのは3分間のレコードだ。コマーシャルみたいなね。
089 '06,12,28 「Help!」って映画...ありゃあ映画もアルバムも僕達の意図したもんじゃなかったな
HELP!」って映画は、曲でいえば「Eight Days A Week」みたいなものだったね。この映画もアルバムも、好きだって言う人はたくさんいるけど、どちらも僕等がやりたいことではなかったんだ。
僕等らしくないってこともわかっていたしね。この映画を恥ずかしいと感じたことはないけど、僕等の身近にいる人は、この映画も「
Eight Days A Week」もベストな作品だとは思ってないよ。両方とも作られたものだからね。
090 '06,12,29 すべてのファンを喜ばせることは無理
シングル盤の「Help!」は、その前の2枚、「I Feel Fine」と「Ticket To Ride」よりははるかに売れた。でも、映画の「HELP!」は好きじゃないっていうファンはけっこういたんだよ。
「ビートルズは私たちのことを忘れてしまっている。「
A HARD DAY'S NIGHT」の方がずっと良かった」ってね。そう言われちゃおしまいだけど、すべてのファンを喜ばせることなんかできやしないよ。そんなことしてたら、結局中途半端になって、誰からも相手にされなくなるからね。自分の考えがベストだって信じて、やるしかないんだよ。
091 '06,12,30 インテリ諸君、勝手な深読みはするなよ
あのマンソンの話は、ジョージが書いた豚の歌とポールが書いたイギリスの移動遊園地の歌をもとに、でっちあげられたんだ。どれもまったく無関係だよ。それに、僕にはこれっぽっちも関係がない。
彼は気がふれている。曲に神秘性を見出したがる他のビートルズ・ファンと同じだ。つまり、彼らは軽い気持ちであれこれ曲に埋め込んで面白がってた。そしてインテリの奴らが僕等の作品の意味を読み取ろうとしたり、象徴主義的な若者が分析したりしてたんだ。確かに僕等もちょっとした役割を果たしてはいた。だけど、「
Helter Skelter」が人を刺殺することとどういう関係があるのか、僕にはわからないな。
092 '06,12,31 ポールの歌詞は何の解決にもなってない
ポールは詞を書く努力をしてこなかったと思うんだ。でも才能がないわけじゃない。僕ほどではないが、けっして才能がないわけじゃない。「Hey Jude」の歌詞はとても素晴らしいし、あれはポールがひとりで書いた詞だ。ポールの書いた詞には、作詞家としての才能が見えるのに、彼はその才能を伸ばそうとしなかったんだ。ポールは「Yesterday」の歌詞も書いてる。難に意味もない詞だけど、すごくいいんだ。うまいよ。わかるかな? つまり詞なんだけど、全体を読んでみると何の意味もないんだ。何がどうなのかさっぱりわからない。女が男の元を去っていき、男はそれがきのうのことならいいのにと思う。その程度しかわからなくて、何の解決にもなってないんだ。僕の昔の詞も同じだけどね。
093 '07,01,09 ビング・クロスビーとロイ・オービソンの組み合わせ
Please Please Me」は完全に僕の曲だ。ロイ・オービソン風の曲を書こうとしたんだけど、信じられるかい。メンローヴ・アベニューの伯母の家にいたころ、自宅で書いたんだ。その日のことは、ベッドのピンク色をした飾り穴まで覚えてるよ。ラジオからロイ・オービソンの「Only The Lonely」か何かが聞こえてきて、その曲から生まれたんだ。それと、僕は昔からビング・クロスビーの歌の(歌う)「お願い(please)だから僕のお願い(pleas)に耳を貸して」という「プリーズ」の2度使いを面白いと思っていた。だから、ビング・クロスビーとロイ・オービソンの組み合わせだな。
094 '07,01,12 あわやB面ソング
Love Me Do」でトップ30に入って、それだけで最高の気分になっていた。そしたら今度は「Please Please Me」が、ドカン! この曲はできるだけシンプルな作りにした。これまで書いた曲とは違って、この曲は、まっすぐヒット・パレードに狙いを定めていたんだ。だけど僕等、もう少しであの曲を「Love Me Do」のB面に追いやるところだったんだよ。「Love Me Do」をやったあと、すごく疲れていてB面はどうしようということになったとき、「Please Please Me」を使おうって気になったんだ。でも、ジョージ・マーティンが、アレンジが凝りすぎだって言うんで、もっとシンプルにしようと取りかかったんだ。
095 '07,01,15 逆回転ギターはマリファナの産物
曲のアイデアの半分は偶然なんだよ。初めて逆回転ギターを発見したのは「Rain」を作ってるときだ。
この曲は、いつでも天気のことで嘆いてる人たちを書いたんだ。僕はなんとか工夫できないかとトラックを家に持って帰った。そのままじゃどうも納得いかなかったからね。マリファナでブッ飛んだままスタジオから家に帰り、いつものようにその日レコーディングしたものを聴いた。それがどういうわけか、逆さまにかけちゃったんだよ。僕はイヤホンをして、太いマリファナ煙草を持って、ピクリとも動かずに坐ってた。そして翌日スタジオに駆け込み、「どうすればいいのかわかった、わかったよ。これを聴いてくれ」って。
096 '07,01,16 「Revolution」−1
僕が「Revolution」のすべてのバージョンで言ったのは、"change your head(君の頭を変えろ)"ということだ。世界を変えようとしている人達は、冷静になることすら出来ない。互いの顔に噛みついて攻撃し、いつも皆で同じ道を進みたがる。そんなことを続けても、一歩も動かないうちに同士討ちさ。文句を言い合って小さなことに拘るのは馬鹿げている。彼らは、工場とか国家という視点をやめて、少なくとも、世界、あるいは宇宙の視点から考えるべきだ。問題なのは、体制が実質的に存在していないということだ。たとえ存在していたとしても老人だ。それを変えたいと思うのは若者だけで、彼らは体制を打倒しようとする。
097 '07,01,18 「Revolution」−2
若者が体制をすべてを打ち崩したいと思うなら、彼らはそれを再建する為に労働者にもならなければならない。それを忘れていないか。体制は永遠に持続し得ないことを、彼らが理解していればいいんだが。体制が今まで延々と続いてきたのは、革命以外の方法で変化を実現しようとした人がいなかったからに過ぎない。必要なのは、現場に足を踏み入れることだけだ。そうすれば、大学を乗っ取り、その時点で現実的に可能なことをすべて実行することができる。だけど国家の乗っ取り、国家の打倒、あるいは工場のサボタージュは必要じゃない。彼らがやらなければならないのは、理解を広めてそれを変えることだけだ。
098 '07,01,19 「He Said He Said」
トリップしてる最中にピーター・フォンダが訪ねて来た。彼はこっちに近づいてきて僕の隣に腰を下ろすと、「死ぬってどういうことだか僕にはわかるんだ」って囁くんだ。そんな話はやめてくれって思ったよ。せっかくトリップして太陽がキラキラと輝き、プレイボーイ誌に出てくるような美しい女性たちが踊っていて、素晴らしき60年代を満喫していたというのに、あいつがつきまとってきて、当時はまだ名前も知らなかった、「イージー・ライダー」が制作される前のことだからね、サングラス越しに「死ぬときの気持ちがわかる」って言い続けるのさ。僕等はできるだけ彼から離れようとした。うんざりしたんだ。怖かったのさ。
099 '07,01,22 「どっちもどっち」 Why Don't We Do It In The Road
ポールはこの曲をひとりで、別の部屋にこもってレコーディングしたんだ。あの頃はそういう処まで来てたんだ。僕達がスタジオに行くと、あいつはもう独りで全部やってしまっている。ドラムにピアノ、ボーカルまで全部独りでね。でもあいつはビートルズを辞められなかった。何故だか僕には解らない。サウンドは良かったな。ジョージの事は解らないけど、僕はポールが独りで全部をやってしまったときはやりきれない思いがした。でもとにかく、あの頃はそうだった。by ジョン でも「Revolution 9」でジョンも同じ事をしたんだよ。彼はさっさと僕抜きであれを作ってしまったんだよ。by ポール
100 '07,01,24 THE END
100ものジョンを語るなんて...とんでもない暴挙を犯したものです
語る...?語るどころか、なにも書けずじまいに終わってしまいました

最後はあなたのジョンへの想いを語ってください

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